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津屋崎千軒を訪ねて

8月16日、お盆も最終日に津屋崎に行くことにした。
なぜ津屋崎なのか、というと、津屋崎には大学時代の友人A子が住む町だからである。
そして、A子は津屋崎のまちづくりに多いに関わっている人物である。
彼女とは、学生時代、同じ寮で同じ学科で、いつも一緒にいる仲間であった。
寮を出たあとも、同じアパートの上と下に住み、かなり一緒にいる頻度が高かったと思う。
当時の彼女はおっとりとして、のんびりとした雰囲気で、みんなに愛される明るい女の子だった。しかし、素晴らしく聡明で絵が上手く、よくイラストを授業中などノートの切れ端に書いたりしていたのを見せてもらっていた。
私たちは日本文学科という、本当に贅沢な学部に所属していた。そして、みんな紛れもなく文学少女だった。
そんなA子が好きだったのは、陸奥A子とユーミンだった。

彼女のことで驚いた思い出は、A子は試験勉強を一切しないことである。集中力が半端ないので、記憶力が抜群に良く、授業で聞いた話を忘れないから試験前に勉強をしなくてもいいのである。
要するに、天才肌だった。
だから、試験前の行動をA子に合わせてはこちらがとんでもないことになってしまう。それは友達同士の間でも有名な話だった。
一見夢見る夢子ちゃんのような、おっとりとした彼女が、卒業してもうすぐ30年経つ今、どんな変貌を遂げて、町づくりにのめりこんでいったのか、、とても興味があった。

しかし、今回は津屋崎に行く際にはA子には一切連絡していかなかった。
彼女の家の電話番号は、もうわからなかったし、パソコンもやらないし、メールもしない。アナログな生活を良しとして、生活全般、手作りにこだわっているから、彼女と連絡を取るには手紙が一番の手段だったから、なかなか連絡が取りにくかったのである。

八代から青春18きっぷで南福岡駅経由の、福津駅へ。
福津市は、津屋崎と福間が合併してできた新しい市である。
A子には毎年年賀状をかれこれ20年以上出しているので、住所はほぼ覚えているのだが、
ずっと東福間、という住所を書いていた。
しかし、ある時から福津市という、見慣れない住所が書かれてきたことを覚えている。

福津駅に降り立ち、バスで彼女のまちづくりの拠点となる、津屋崎千軒へ。
津屋崎千軒とは、新町区・天神町区・北の1区・2区などの津屋崎地区は、江戸期から明治期にかけて、海上交易と塩田によって大いに栄えていたらしく、「人家が千軒もあるほどに繁栄しているまちだ」として「芦屋千軒」「関(下関)千軒」と並び「津屋崎千軒」と称されていた。津屋崎地区には、江戸期から度々大火事があって、この時代の建物は残念なことにほとんど残っていない。平成5年、古い街並みを保存する運動が起こり、翌年には津屋崎千軒民俗館「藍の家」が誕生し、現在の運営はNPO法人が受け持っている、という状況である。

そこで私が一番興味があったのは、A子の活動だった。
彼女はその津屋崎の街でシェアショップを運営しており、曜日ごとに運営する担当が変わり、営業内容も変わるという、とてもユニークなものだった。
津屋崎には古民家や町屋が多く、そういった街に溶け込んだ風情のある建築物をリフォームし、再利用している。それの店舗の名前が「古小路」(こしょうじ)という。
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行ってみたら残念ながら店は閉まっていた!
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だけど、間違いなくA子が制作したであろう手作りの看板が掲っていて、その文字の漢字がとても懐かしくて彼女に益々会いたくなったのであった。
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津屋崎の街には、日本地図を完成させた伊能忠敬も来ているらしい。
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手作りの地図があった。街並みに溶け込んでいる。

こんなレトロな店が通りに立ち並ぶ。
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ここのうにやはおいしそう!

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動物病院があって、閉まっていたが、覗くと亀がいた!

何屋なのかわからないが、古さを残した作りが津屋崎の景観を作っている。
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彼女に会えないかなぁと思いながら街を散策し、観光案内所まで行き、そこで彼女に連絡を取ってもらうことにした。
すると、彼女が来てくれたのである。
そして、彼女の車に乗るとまっしぐらに連れて行ってくれた場所がここ。
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車で10分ほど海岸線を走り、しばらく丘に向かって登っていくとそこで車を降りて、
彼女は藪というか、小さな山道を駆け上っていく。
私も運動不足の重い体で後をついていくとその先にあったのが、津屋崎の海を一望できる最高の場所だったのだ。

津屋崎は、住民主体の街である。
彼女いわく、「市長がダメだから市民が育った」だそうだ。
この言葉は、今の○○市にもそのまま当てはめていかなくてはならないのでないかっ!?
津屋崎ができるなら、○○市だってできるんじゃないか!
と思わせてくれる、励みになる言葉だった。

そして、ランチも彼女のおすすめの店へ。
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ハンバーグ、とってもおいしかった。
滞在時間はすっごく少なかったけど、とても心に響く町だったし、住みたくなるのがわかるような味わいのある町だった。

今度行くときは泊まってもっと店が開いている時に行ってみたいと思った。
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